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がん治療に漢方薬を採り入れるということ

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先日、理事長の阿部博幸が“漢方で健康を目指す”NPO法人にお招きいただき、がん治療について講演をさせていただきました。

1.漢方薬はサポーティブ・テラピーのひとつです

アベ・腫瘍内科・クリニックでは漢方薬を、がん治療の効果を側面から支える治療(サポーティブ・テラピー)の一つとして位置付けています。

Chinese herb by aussiegall

クリニックに訪れる患者さまの状態は、がんの進行度合い、もしくは受けた治療による副作用で基礎体力の低下、免疫力の低下、炎症による熱感、疲れ、食欲不振などの症状を引き起こしている場合があります。

このような状態で侵襲性の高い標準治療を受けることは、体力的に厳しいものがあります。さりとてABeVax-多価樹状細胞ワクチンや、活性NK細胞療法を併用したABeVax-ハイブリッド免疫療法といった、免疫細胞を働かせてがん細胞を攻撃する治療にしても、低栄養など基礎体力が著しく低い場合は治療効果を期待することが難しくなります。

そんな時アベ・腫瘍内科・クリニックでは、十全大補湯、補中益気湯、毒参湯などの漢方薬を処方することがあります。

特に、悪液質と診断された患者さまの場合、そのまま何もしないでいるとがん細胞は宿主から栄養を奪い、さらに大きく成長を続け患者さまはガリガリに痩せ衰えてしまいます。

悪液質には六君子湯という処方が症状改善に効果があります。

2.悪液質には六君子湯を

六君子湯は、胃から分泌されるグレリンという食欲促進ホルモンの分泌を高めるとともに、迷走神経を介して脳へ伝達され、視床下部にある食欲促進の中枢に働きかけることが確認されています。

単なる食欲不振と違い悪液質の場合は、がん細胞から生体の調整機構を乱すさまざまなサイトカインが放出されているため、本来なら食欲促進のサインをキャッチして、食欲を促進するよう活性化していくはずの視床下部に、誤った情報が伝えられ、食欲が抑えられてしまうと考えられています。それ故、胃からのグレリン分泌促進と、脳の視床下部での食欲中枢の活性化という、2つの作用を併せ持つ六君子湯が、悪液質の改善にたいへん有効であると考えられるのです。

標準治療ではもう手立てがなく緩和ケアを勧められたけれど、何か前向きな治療はないかと来院される方も少なくありません。アルブミンの値が3を切るような栄養状態が悪い場合は、まず漢方薬で食欲を促進いただき、並行して樹状細胞ワクチンなどの免疫療法をすることで、QOLを改善される例が多くあります。

3.まとめ

治療の効果を側面から支える漢方薬などのサポーティブ・テラピーを上手に採り入れることが、がん治療を成功させる鍵だと考えています。