外国産野菜・果物で高濃度

<高濃度農薬の外国産野菜・果物>
農薬の種類 殺菌剤CNA 除草剤クロルプロファム
農産物 米国産セロリ 米国、オランダ、ベルギー産の冷凍ジャガイモ
検出量 環境省基準を大きく上回る高濃度 環境庁(環境省)基準の92倍

殺菌剤CNA(ジクロルニトロアニリン)

濃度が高かったのはCNA(ジクロルニトロアニリン)と呼ばれる殺菌剤だった。

米国産セロリの葉から8.9ppm、葉柄から2.9ppm検出された。環境庁(環境省)基準の0.6ppmを大きく上回った。

CNAは日本国内ではあまり使われていない。毒性などもよく分かっていない。

除草剤クロルプロファム

また、クロルプロファムという除草剤が米国、オランダ、ベルギー産の冷凍ジャガイモから環境庁(環境省)基準の0.05ppmを上回って検出された。

最高濃度は米国産の4.6ppm。環境庁(環境省)基準の実に92倍だった。

クロルプロファムは米国などでは収穫後の発芽抑制剤として使われていた。残留量が多かったのはこのためとみられる。

さらに、以下の農薬が基準をオーバーして検出された。

  • ・フランス産チコリ(ハクサイのしんのような形をした野菜でサラダや煮物に使う)
  • ・米国産レモンの皮から有機リン系殺虫剤

特にレモンの皮の中は非常に高く、カルバリルという劇物の農薬を17ppmも含むものがあった。

殺虫剤パラチオン

農薬の種類 殺虫剤パラチオン
農産物 米国産サクランボ、台湾産ライチ
日本での扱い 環毒性が極めて強いため日本では使用禁止

また、米国産サクランボや台湾産ライチ(赤茶色の堅い皮で覆われた果実で実は乳白色で甘い)の中には、殺虫剤パラチオンが低濃度ながら含まれていた。

パラチオンは毒性が極めて強いため日本では使用禁止になり、最近では国産品から全く検出されない。

輸入食品が、国内消費量の半分以上に

バブル時代のグルメブームなどの影響もあり、輸入食品は増える一方だった。

カロリー換算でみると国内消費量の実に半分以上を占めるようになった。

特に野菜、果実の輸入は量、種類ともに急増していた。

永山敏広・東京都立衛生研究所(現:東京都健康安全研究センター)食品研究科の研究員

分析に当たった東京都立衛生研究所(現:東京都健康安全研究センター)食品研究科の永山敏広研究員は以下のようにコメントした。

これらの食品を食べても今すぐに健康に影響はないだろうが、多量の残留は要注意。特にかんきつ類の皮には農薬が残りやすいので、監視を続けることが必要だ。


浅沼信治・主任研究員日本農村医学研究所(日本農村医学研究所)

農薬問題に詳しい日本農村医学研究所の浅沼信治主任研究員は以下のようにコメントした。

今回の調査は対象農産物や農薬の種類も多く、貴重な成果だ。外国での動物実験などの結果から個別の農薬については今すぐに健康に心配はないといっても、人間は多くの食品を複合的に摂取するのだから、直ちに安全とは言えない。現在の日本の基準は農薬使用の実情に合わないものになっているのが大きな問題だ。